上記第四段階に至ったところで法務大臣の裁量による裁決を受けることになります。
いわゆる「在留特別許可の出願」は、この最終段階での救済措置を得ることを目指します。
■第一段階:違反調査(自己出頭の場合)
不法滞在中の外国人および配偶者共に入管へ出頭して、在留特別許可の申請を行います。(事前に当事務所にご相談いただければ、書類を収集し、ご要望があれば行政書士も随伴いたします。また、日本人等と事実上の結婚生活をしているのであれば、正式に婚姻を成立させた後に出頭するようにしましょう。)
自己出頭により、入管は当該外国人の違反の事実(存在)を知り、入国警備官は違反調査(事情聴取等)を開始します。
自己出頭をした場合、一般的には身柄拘束をされない「在宅案件」の取扱をされています。
在宅案件の場合、違反調査終了後、収集された書類が入国審査官に引き渡され、「仮放免」を認めるかどうかを決定します。
仮放免を認める場合には原則、保証金(上限は300万円)を納付させることになっています(ケースによっては保証書だけで済んだり、金額も状況に鑑みて低くしてくれる場合があります)。
なお、仮放免の条件として、住居の指定、行動範囲の限定、月一回の出頭などの制限や義務が課せられることがあります。
■第二段階:違反審査
仮放免がなされると、入国審査官は違反審査を行います。前段階の違反調査で不足している調査事項について事情聴取が行われます。
在宅案件では、違反の事実については特に争いがないため、退去強制事由に該当するという「認定」がなされ、通知書が交付されます。同通知書には、通知を受け取ったら日から3日以内に口頭審理請求ができる旨の記載がなされており、請求はその場で口頭でします。これによって、口頭審理へ手続が進められます。
■第三段階:口頭審理
口頭審理請求がなされると、特別審理官は口頭審理を行います。
口頭審理には代理人の立会い、証拠提出、証人尋問などが認められており、特別審理官の許可を受けてこれをすることができます。
口頭審理では、違反の調査の結果に誤りがないことを示す判定通知書が交付されるので、すみやかに意義申立書に記入し、特別審理官に交付することで、手続は最終段階の法務大臣裁決へと進むことになります。
■第四段階:法務大臣裁決
これ以上、取調べを受けることはなく、結果を待つことになります。
■まとめ
結局は、「出頭前の段階」で、許可を得るための状況を整え、それを立証する証拠書類を上手に用意できるかが決め手となるでしょう。
不安な方は、入管手続に詳しいお近くの行政書士に相談をすれば、在留特別許可取得の可能性について的確に判断をしていただけるでしょう。もちろん、当事務所にてご相談を受け付けております。